出光美術館の「歌仙と古筆」に行きました。
三十六歌仙の肖像画や色紙を中心とする展示なのですが、印象に残ったのは生誕九百年を記念した西行の特集でした。
俵屋宗達と烏丸光廣の西行物語絵巻が解説付きで展示されていて、北面武士の佐藤義清としての姿、友の急死などを要因として、現世に空しさを感じて出家を志す姿が描かれていました。その中には娘を縁側から蹴落とす場面も含まれます。
出家者として、旅に生きた歌人として、幅の広い人生を送ったという印象があります。童子にやりこめられ(西行戻しの逸話)すごすごと引き返す姿も西行であり、崇徳院の亡霊と対等に会話をする姿(辻邦生『西行花伝』)もまた西行であり、振幅の大きさは比類がありません。また、何と「絵になる」「物語になる」人生を送った人かと思います。
0 件のコメント:
コメントを投稿