2015年8月1日土曜日

山城知佳子「肉屋の女」

東京国立近代美術館の常設展に山城知佳子さんの映像作品「肉屋の女」がありました。
沖縄の米軍保有地にある闇市で働く女を描いたフィクション。
しかし実際は台詞もほとんどない詩的な作品。
鍾乳洞を行く女たち。海中でダンスを踊るかのように群れる女たち。
南方の文化を思わせる神話の世界。
タイのアピチャッポン・ウィーラセタクンを連想しました。

工事現場で働く労働者姿の若い男が次から次へと肉を求めて手を伸ばしてくる。
彼らはそれを屋外の鉄板で焼いて食うのである。女は包丁で肉をさばいては渡していく。
後から後から伸びる手。ついには男たちは女をつかんで引きずり出して群がる。
男たちが去った後には何も残らない。
肉片の描写は死のイメージ。表面の映像は美しいのに裏側には死と暴力が潜んでいる。