2014年3月26日水曜日

工藤哲巳回顧展ほか

東京国立近代美術館に行きました。
企画展は「工藤哲巳回顧展」でした。
「あなたの肖像」では、空っぽのデッキチェアにわずかに残る頭蓋や目玉や水着の痕跡、パラソル付きベビーカーの手すりから垂れ下がる人体の残骸(原子爆弾による人体の蒸発を連想させる)によって、死を確かに表現できていました。
ただそれはあくまで他者の死であったわけですが、後年に至り、作家自身が鳥籠の中で編み目にからみつかれ瞑想する作品あたりから次第に、自分の運命としての死が現れるようになってきました。
「インポ哲学」のような露悪的な作品でなく、死を扱った作品に魅力を感じました。

所蔵作品の企画展に岡崎乾二郎さんの絵が4点ありました。
ナイフで塗り付けたような筆跡はでたらめのようで、すぐ隣にほぼ同じ筆跡(色が違う)の作品があるので、決して思い付きの作品でないということが実感できました。
また絵の脇に書いてある文章は、人工知能が文を書いたような、意味がありそうななさそうな文章でした。プリミティブな感覚は絵と文章の両方に共通するものでした。

2014年3月8日土曜日

さわひらき展

東京オペラシティアートギャラリーさわひらき展に行きました。
映像作品が上映されています。
室内にたたずむ男の姿、空中で回転するレコード、それに指を当てて音楽を聴こうとする男。
(これは突然記憶喪失に見舞われた友人の逸話を元に、身の周りのすべてを新しい発見として眺めなければならなかった彼の姿を描いているのだとのこと。)
流れている映像は謎めいていて、しかも視聴者を飽きさせないところがあります。
室内暖房機の背景に、ダンスのステップを踏む少女の映像が流れたり、動かない本棚の向こうでクルクルと歯車が回っていたり。

オオタファインアーツでもさわひらき展をやっていました。
湖ほか風景の映像、空中を飛ぶ鳥たち、室内の様子。

どちらの展覧会でも、映像にはまったく説明がないのですが思わず見入ってしまいました。世界を初めて見るときの驚きの感情があり、ありふれた事物に対する新たな興味をかき立てられるところがありました。

さわひらき Hiraki Sawa UNDER THE BOX, BEYOND THE BOUNDS
会場:東京オペラシティ アートギャラリー
会期:2014年1月18日(土)− 3月30日(日)
開館時間:11:00 - 19:00 (金・土は20:00まで/最終入場は閉館の30分前まで)
休館日:月曜日

さわ ひらき展
会場:オオタファインアーツ
会期:2014年2月12日(水) - 4月26日(土)
開廊時間:11:00 - 19:00
休廊:月・日・祝日