東京都美術館『プーシキン美術館展──旅するフランス風景画』に行きました。コレクターの審美眼がはっきり現れた展覧会だったと思います。
理想的風景画の系譜の中では、ユベール・ロベールの『水に囲まれた神殿』が印象に残りました。現実の風景を元にして、神殿を廃墟に変え水の中に浮かべるという変化が加えられています。風景画が決して現実のスナップショットではないことが分かります。
ルイジ・ロワールの『パリ環状鉄道の煙(パリ郊外)』には空気感を伝える鋭い写実的表現があり、煙を画面に配置するという大胆さがありました。近代都市パリへの讃歌ともいえます。コルテスの『夜のパリ』のような、写実描写よりもパリの夜の通りの雰囲気を表現することに重点を置いた絵を見ると、この美術館がどのような作品を得意としているのか想像できます。
ルイジ・ロワールの『パリ環状鉄道の煙(パリ郊外)』には空気感を伝える鋭い写実的表現があり、煙を画面に配置するという大胆さがありました。近代都市パリへの讃歌ともいえます。コルテスの『夜のパリ』のような、写実描写よりもパリの夜の通りの雰囲気を表現することに重点を置いた絵を見ると、この美術館がどのような作品を得意としているのか想像できます。
モネの『草上の昼食』はマネの作品の後で描かれたものですが、都市から見た郊外への憧れを示す絵として展示されていました。
セザンヌのサント=ヴィクトワール山を始めとする作品たちは、都市から見た自然への憧れです。ボナールの『夏、ダンス』は202×254cmの大作で、室内画のイメージがあった画家がこんな大きい風景画を描いていたとは思いませんでした。
セザンヌのサント=ヴィクトワール山を始めとする作品たちは、都市から見た自然への憧れです。ボナールの『夏、ダンス』は202×254cmの大作で、室内画のイメージがあった画家がこんな大きい風景画を描いていたとは思いませんでした。
この展覧会は「心躍る旅をテーマとする展覧会」として構成されていましたが、観客に筋道を立てて解説する分かりやすさに徹していたと思います。会場は比較的空いていました。
驚くべきは展覧会カタログであり、その個性的な装丁はどれだけ強調しても足りません。紙面は横長ソフトカバーに縦横罫線のノート風です。チェックボックスがあったりしてまるで研究ノートのようです。作品解説の左下には別の文字サイズ、別の文字色でアーティストプロファイルが記載されます。何ページか進むたびにコラム「画家と旅」が挿入されて画家の生涯の一場面が紹介されます。最初と最後にパリ市内やパリ近郊、美術館遠景をスナップショットで写した写真が載せられ、「とっておきブックガイド」で締めくくられます。どう見ても学術論文を集めたカタログではありません。初心者に向けて丁寧に書かれた参考書の趣がありました。
会期 2018年4月14日(土)~7月8日(日)
会場 東京都美術館 企画展示室
休室日 月曜日
※ただし、4月30日(月・休)は開室
開室時間 9:30~17:30(入室は閉室の30分前まで)
夜間開室 金曜日は9:30~20:00(入室は閉室の30分前まで)
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