2014年2月13日木曜日

「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義」

三菱一号館美術館「ザ・ビューティフル 英国の唯美主義1860-1900」に行きました。
ラファエル前派やアルバート・ムーア、フレデリック・レイトンなどの絵が展示してあります。
彼らは聖書や古典の一場面を描く絵画から抜け出して、特定の物語を題材としない絵を、「主題のない」ひたすら目を楽しませるような絵を描こうとしていました。それはまた、当時の財をなした富裕層が新しく社会の中心となろうとする動きとも重なるものでした。
ウィリアム・モリスたちが行った本の装飾や日用品の装飾も展示してありました。少数生産の高価なものであれ、大量生産の安価なものであれ、そこには同時代の人々に美を届けよう、大衆と関わろうとする意志を感じることができました。
「唯美主義」という言葉から想像されるような、現実世界を見ようとしない、時代に背を向けた人間の姿は(そのような美術収集家の姿を描いた風刺画は確かに展示されていましたが)、少なくとも芸術家の作品からは感じられませんでした。

個人的にはアルバート・ムーアの「真夏」という作品が印象に残りました。
古代ギリシャを舞台としていながら、近代的な空間と光の描写があり空気感が表現されていて、堂々たる美の世界がありました。また題材こそ直接古典から取っていなくても、伝統的絵画とのつながりは完全に途絶えてはいませんでした。

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