2014年2月1日土曜日

渡辺千尋展

不忍画廊と練馬区立美術館とで開催されている渡辺千尋展に行きました。
不忍画廊に展示されていた「アダムとイブ」は不思議な作品で、20世紀のシュールレアリストたち(かつて澁澤龍彦が好んで取り上げたエロティシズムの作家たち)を思わせるものでしたが、そのような作品はこれ一点でした。
練馬区立美術館に展示されていた油絵を観ると、物の表面の肌理に目が引き付けられ、平面芸術との親近性を感じました。また風景を描写した銅版画には、空間のすべてを線で埋め尽くそうとする作者の執念が感じられてくるのでした。
版画集「象の風景」も販売されていました。その中で渡辺さんはハンス・ベルメールについて言及していながら、不思議なことに「彼のビュランはデッサン画以上の何も進展していない」「ビュランに生命がない」と言うのです。(ベルメールの銅版画は彼の同時代の彫師が彫っている)
ベルメールの「道徳小論」などの作品は、銅版画であってしかも彼の最高の芸術が現れていると思うのですが…。銅板を彫る作業はデッサンをただ銅板に写すだけの作業ではない、それを越えるものでなければならない、というのが渡辺千尋さんの主張なのでしょう。
不忍画廊
2014年1月15日(水)~2月8日(土)
休廊日:日曜日・祝日
営業時間:11:00~18:30

練馬区立美術館
2013年11月30日(土)〜2014年2月9日(日)   
休館日:毎週月曜
開館時間:10:00~18:00
観覧料:無料

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