2018年2月14日水曜日

「愛の完成」翻訳解説

ローベルト・ムージル「愛の完成」を翻訳しました。

ドイツ語の原文は難解なことで知られていて、それは抽象的な記述のために文章の意味が何通りにも解釈可能であり、しかもその抽象的な記述はずっと続くのでそれぞれの文章はどの意味だったのかがいつまでたっても分からないことが理由です。

霧の中を歩くような、焦点の合わない眼鏡をかけているような感覚がする原文は、「かつてドイツ語で書かれた最も難解な文章の一つ」とまで言われるほどで、ドイツ語の素人が太刀打ちできるようなものではありませんが、無謀にも翻訳してみました。

この小説には古井由吉さんの翻訳がありますが、それは抽象的な日本語を並べて意味の解釈を一通りに定めないようにしたものでした。

ドイツ語の文章が持っていた概念の広がりと、日本語の文章が持つ概念の広がりとがちょうどぴったり対応するかどうかは疑問がありますが、ともかく難解な文章を難解なまま翻訳したものでした。

これに対して拙訳は、抽象的な原文から一つの意味を推理して抜き出して、できるだけ具体的な日本語を当てたものです。概念の広がりは原文より狭くなっているのですが、とにかく意味が分からなければ話にならないという考えのもと、分かりやすい文章を目指して訳しました。

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