2016年10月10日月曜日

岡崎和郎展

千葉市美術館での岡崎和郎展に行きました。岡崎作品のみならず、インスピレーションの源となった人達の作品も隣に並んでいます。それがまた大変な人数であり分野も多岐にわたっています。
ダリ、デュシャンやコーネル、瀧口修造など、通常芸術家に分類される人達だけではありません。チャーチル、ケージ、井伏鱒二、ウィリアム・テルなど、およそ他分野と思われる人たちも岡崎作品に影響を与えています。
また、影響といっても一筋縄にはいきません。モンドリアンの作品の隣にある「P.M.ボール」はモンドリアンの作品を球形状すなわち3次元化したもので、これは誰が見ても影響があることはあきらかです。
しかし、例えばブランクーシの具象彫刻「眠る幼児」の隣に岡崎の「石の夢」「石の器」が並んでいるのですが、両者は似ているとはいえません。
ケージの「4’33」の映像や楽譜の隣にある「hear something…」は耳に当てることを意図したオブジェであって、似ているという問題ではなく、ケージが岡崎のインスピレーションの源となったということです。

この展覧会で、岡崎作品は、独立した芸術作品であって完全に他人から独立した状態と、他作品と並列し関連性を強調することによってその存在意義を確立する状態と、二者の間で揺れる微妙な存在となっていました。
それはまた、すべての芸術は他からの影響を受けており完全なオリジナル作品はありえないという主張を掲げることによって、逆に元となった作品たちの持つオリジナル性の強さを感じることにもつながるという、背反した微妙な印象を与えることにもなるのでした。

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