東京都現代美術館「菅木志雄 置かれた潜在性」に行きました。
1960年代から70年代にかけて制作された作品を展示していました。
「依存差(1973)」では自然のままの形状の石と直方体に面取りされた石とが金属面の上に置かれていました。素材感の違いから金属と石とは明らかに違う物として存在していました。
「並列層(1969)」ではロウの薄い平板が積み重ねられているのですが、わざわざ薄い面の側を使って積層した部分は明らかに不安定であり、広い面を積み重ねた場合(すなわち同じ性質を示す部分がより大きい形での接触)はより安定していました。
「多分率(1975)」では平面状に張られた半透明ビニールシートの上側に自然形状の石を置き、下側に四角柱を置いていました。下に四角柱があると知っていれば上の石を見て下の石の形状を想像することは不可能ではありません。けれども下の四角柱を見て上の石の(自然のままの)形状を推理することはどう考えても不可能なのでした。
「捨置状況(1972)」では壁から張り巡らされた何本もの金属線の交点に木片が乗せられていました。(いくつかの木片は交点でなくただ金属線上にありました)。木片の形状はさまざまですが、それらは交点の位置を占めているという共通性を持っていました。そして仮に金属線がなかったと仮定するならば、交点の存在を想像する必要がありました。
「界入差(1979)」では金属面の上に自然形状の石と直方体の石とが置かれていました。ただし直方体の石の表面は金属で覆われており、それが部分的であるために(同じ性質を示す部分がより大きいために)石に近い物として知覚可能となっていました。おそらく金属部分が大きくなればなるほど金属として知覚する可能性が高まるのでしょう。
ミュージアムショップに菅さんの本(推理小説)がありました。菅さんの作品は知的作業によって作られたものであり、解答がある芸術なのではないかという考えを抱かせる出来事でした。
会期:2015年1月24日(土)- 3月22日(日)
休館日:月曜日
会場:東京都現代美術館(企画展示室地下2F)
開館時間:10:00 - 18:00 ※入場は閉館の30分前まで
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