東京都美術館「ボッティチェリ展」に行きました。
ボッティチェリとリッピ父子が主役ですが、個人的にはボッティチェリに注目しました。
テンペラ画、フレスコ画、版画が展示されていましたが、ダンテ「神曲」に基づく版画は来ていません。
「バラ園の聖母」では、聖母の頬の紅みや足元の大理石の模様の緻密さが印象に残りました。
「書斎の聖アウグスティヌス」はフレスコ画ですが、画面全体の白く輝くような雰囲気と異常なまでの顔のリアルな描写が印象に残りました。そして画面隅に描かれた天球儀は思ったより平面的な描写なのでした。
「書物の聖母」では、青色の発色が鮮やかすぎるほど鮮やかで、ルネサンス期の絵画を見ているような感じがしませんでした。
ボッティチェリ晩年の作品も何点か来ていました。「ホロフェルネスの頭部を持つユディト」「オリーブ園の祈り」「アペレスの誹謗」などです。かつてのボッティチェリはリアルな描写が甘美な雰囲気を生んでいたのですが、晩年に近づくにつれ苦痛を感じさせる深刻さが加わってくるのでした。「アペレス」の柱の彫刻の描写は見物です。
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