2015年6月19日金曜日

ビル・ヴィオラ初期映像短編集

森美術館で「ビル・ヴィオラ初期映像短編集」を観ました。
「歯と歯のあいだで」
遠く離れた場所にあるカメラが、叫び声を上げるヴィオラ本人に向かって動き、歯のクローズアップに至るまで近づく。その映像を何度も繰り返す。その合間に台所の映像。皿に入ったコーンフレークや蛇口から流れる水。
「映りこむ池」
森の中の貯水槽の前にたたずむ男。水の中へ身を投げる。しかし水面に落ちることはなく静止。水面に映るのは時間の経過とともに移り変わる周囲の様子。貯水槽の周りを歩く人々。
「日の老いたる者(天地創造の神)」
遠くにレーニア山が映り、その前の草地には女の子。やがてその映像は電光掲示板の映像となり、カメラが引いていくとそれが映っていたのは新宿アルタの電光掲示板。
「ヴェジタブル・メモリー」
築地場内の慌ただしい映像が何度も繰り返される。最初は超高速の早回し。繰り返されるたびゆっくりになり、最後はスローモーション。
「聖歌」
ホテルのロビーで叫び声を上げる少女。石油採掘の機械の動き。外科手術の映像。
以上です。
作者がその初期から異なる複数の時間の流れを追求していたことがよく分かりました。
人間の意識内で速くなりまた遅くなる時間の流れをビデオとして外部に取り出す試みが分かりました。素材の魅力ではなくコンセプトの魅力で最後まで飽きさせない映像でした。
ちなみにビデオ素材をデジタル化してスクリーンに投影しているのですが、映像はぼやけています。