2014年4月20日日曜日

バルテュス展

東京都美術館「バルテュス展」に行きました。
その昔雑誌のマリ・クレールでバルテュスのインタビュー記事を読んだ記憶があります。そこで彼は「人工的な光ではまったく物を見ることができないのです」と語っていましたが、今回の展示はまぶしいピンポイントの照明の元でした。

若くしてピエロ・デラ・フランチェスカの模写から始めた彼の絵は、古典的な均整のとれた構図を重視していました。
光を表現するに当たって、明暗のコントラストではなく微妙な色彩の変化で表現しようとしていました。(無人の部屋を描いた「窓、クール・ド・ロアン」)
人物の顔や膝のように細かく描写する部分と、直線的な脚のように幾何学的な配置の部分とが共存していました。(少女を描いた「夢見るテレーズ」、「美しい日々」)
異物の共存は多くの絵の中に感じられました。くすんだような壁の色と鮮やかなスカートや靴下の色、微妙に色彩が移り変わる背景に対して少女の均質で滑らかな肌…
そしてその共存は後年になるにつれ、絵の質感(マットな、あるいはフレスコ画的な)への追求に至り一つに収斂されていくのでした。

蛇足:
日本橋高島屋で「Smile 浅田真央23年の軌跡展」が開かれていました。それを観たせいなのでしょうか、バルテュスが後に伴侶となる節子さんを描いた「日本の少女の肖像」(1962年)を観ると、少し浅田真央さんに似て見えました。

2014年4月11日金曜日

「栄西と建仁寺」

東京国立博物館「栄西と建仁寺」展に行きました。
俵屋宗達「風神雷神図屏風」を観ましたが、よかったです。
顔の表情、手足や筋肉の様子、衣装の流れるような曲線、風神雷神の配置、すべての筆致に迷いがなく説得力に満ちていました。
他には海北友松(かいほう・ゆうしょう、1533-1615)の障壁画がありましたが、圧倒されました。縦2m弱、横1〜1.5m程度の大きさの水墨画が、複数枚で一組となり何組も展示されています。
内容は人物図、花鳥図、雲龍図など。画面も大きいですが描かれた人物、動物、龍なども大きいです。でも墨の濃淡が巧みで背景と溶け合っているので、少しも間延びしていません。さらにぼかしや省略によって周囲の事物の存在を暗示し、それによって広大な世界を想像することができました。