東京国立近代美術館に行きました。
企画展は「工藤哲巳回顧展」でした。
「あなたの肖像」では、空っぽのデッキチェアにわずかに残る頭蓋や目玉や水着の痕跡、パラソル付きベビーカーの手すりから垂れ下がる人体の残骸(原子爆弾による人体の蒸発を連想させる)によって、死を確かに表現できていました。
ただそれはあくまで他者の死であったわけですが、後年に至り、作家自身が鳥籠の中で編み目にからみつかれ瞑想する作品あたりから次第に、自分の運命としての死が現れるようになってきました。
「インポ哲学」のような露悪的な作品でなく、死を扱った作品に魅力を感じました。
所蔵作品の企画展に岡崎乾二郎さんの絵が4点ありました。
ナイフで塗り付けたような筆跡はでたらめのようで、すぐ隣にほぼ同じ筆跡(色が違う)の作品があるので、決して思い付きの作品でないということが実感できました。
また絵の脇に書いてある文章は、人工知能が文を書いたような、意味がありそうななさそうな文章でした。プリミティブな感覚は絵と文章の両方に共通するものでした。